歯科診療におけるX線検査の被ばくについて検討してみた。

はじめに

こんにちは、東大井の立会川歯医者 副院長 島本則仁です。      
歯科診療にX線検査の必要性は広く認識されていると思います。 しかし、X線検査の際、患者様のX線被ばくは免れません。
たしかに、下図のように 一般公衆の年間限度線量とされる 1.0ミリシーベルトの数十分の一(0.01~0.1ミリシーベルト)ですが、X線検査による被ばくを少しでも抑えることは、意義があると考え検討してみました。

問題点

問題点① 甲状腺の被ばく: 
歯科領域(頭頸部領域)のX線検査では、X線照射領域の 中に甲状腺が入る場合がありす。X線検査の際、鉛入り防護服を着用してもらいますが 甲状腺まで覆っている防護服は少ないので 甲状腺が X線を受ける可能性があります。

問題点② 直接X線の被ばく:
X線は、円錐型に広がりながら照射されます。下の図のようにオレンジの円錐領域の中に身体があると、目的部分以外も直接X線を受けることになります。

問題点③ 散乱X線の被ばく:
直接X線が 被写体や物に当って あらゆる方向に散乱( 下図の矢印)するのが散乱X線です。その量は、直接X線の5%程度です。

歯界展望2019.4月号

問題点④ 手指の被ばく:
歯科診療におけるX線検査の際、指でX線フィルムを固定してもらって、X線照射することがあります。この場合、手指に直接X線を受けること になります。

改善点

改善点① 甲状腺を覆う鉛入り襟と防護服の併用:
甲状腺は頭頸部領域で最も放射線感受性の高い臓器の一つです。甲状腺の防御措置として、鉛入り襟を使用し防護服と併用します。

改善点② 直接X線の最小化と散乱X線の減少:
一般的な歯科X線は、頭部の広い範囲へX線照射されます。下図のようなタングステンシート(X線を遮断)を使用することによって、直接X線を最小化し、散乱X線の発生を減らすことができます。結果として,従来のX線撮影に比べ確実に被ばく量を軽減させることが出来ます。

改善点③ ホルダーを用いてX線フィルムを固定:
手指でなくホルダーでフィルムを固定するとX線の被ばくを避けることができます。

詰まるところ・・・

甲状腺は、X線感受性の高い臓器の一つです。   30才以下の人は、X線誘発甲状腺疾患のリスクが高く、X線撮影を行う際、甲状腺を覆う鉛入り襟を使用すべきであると考えます。

・・・実は私、歯医者に行ってX線検査をしてもらおうと思っています。恥ずかしい話ですが、私、1か月前から歯に痛みがあるのです。
えっ、早く歯医者に行った方がいいって?
だって、歯医者怖いだもん。

Follow me!

ブログ

次の記事

墓参りがてら